生活保護を受けるには、世帯の収入が国の定める最低生活費を下回っていることなどの条件を満たし、お住まいの地域を管轄する福祉事務所で申請手続きを行います。
受給の主な条件
• 収入の基準: 世帯全体の収入が、国が定める最低生活費(地域や世帯人数による)に満たないこと。
• 資産の活用: 預貯金や不動産、自動車など、現金化して活用できる資産がないこと。
• 能力の活用: 働ける場合は、その能力に応じて働くこと(病気や障害などで働けない場合は免除)。
• 他法他制度の優先: 年金や手当など、他の制度を利用できる場合はまずそちらを優先すること。
申請の手続きと流れ
1. 相談する • 現在住んでいる場所を担当する市区町村の福祉事務所へ相談に行きます。
2. 申請する • 制度の説明を受けた後、本人の意思で申請書類を提出します。
3. 調査を受ける • 担当者が生活状況や資産、扶養義務者(親族)の状況などを調査します。
4. 結果の通知 • 原則として14日以内(最長30日)に受給できるかどうかが決定され、通知されます。
生活保護における家賃負担の補助(住宅扶助)
各地域(自治体)や世帯の人数ごとに上限額が細かく決められています。
全国の自治体は物価や家賃相場の違いに応じて「級地」と呼ばれる6つのグループ(1級地-1 〜 3級地-2)に区分されており、都会ほど上限額が高く、地方にいくほど低く設定されています。
支給されるのは「実際の家賃額」ですが、以下の上限額(基準額)を超える分は自己負担(または基準に収まる物件への転居)となります。
地域と人数による上限額(住宅扶助)の例
単身(1人)世帯 2人世帯 3〜5人世帯
東京都23区など(1級地-1) 53,700円 64,000円 69,800円
名古屋市など(1級地-2相当) 37,000円 44,000円 48,000円
※上記は一般的な基準額の目安です。
床面積が極端に狭い場合(15㎡以下など)は上限額が減額されるルールもあります。
注意点 • 管理費や共益費は対象外: 住宅扶助として出るのはあくまで「純粋な家賃(または間代・地代)」のみです。
管理費や水道光熱費は、別の「生活扶助」からやりくりする必要があります。
初期費用のサポート: 新たに入居が必要な場合、基準の範囲内であれば敷金や礼金、仲介手数料、火災保険料などの初期費用(引越し費用)も扶助の対象として認められるケースがあります。
実際に適用される正確な上限額はお住まいの市町村や世帯の状況(高齢者、障害の有無などによる特例など)によって異なるため、具体的な検討の際はお住まいの地域を管轄する福祉事務所(市区町村の生活保護担当窓口)へ直接ご確認ください。
生活保護を申請する際、現金や預貯金が「その世帯の最低生活費の1ヶ月分」を超えていると、原則として受けられません。
生活保護は、手持ちの資産をすべて生活費に充ててもなお足りない人を対象とする制度だからです。
お金(預貯金)の基準と、それ以外の資産(家や車など)の基準
1. 現金・預貯金の目安 法律などで「〇〇万円」と一律に決まっているわけではありませんが、審査時の一般的な物差しは以下の通りです。
• 受給できないケース: 自分の世帯の「最低生活費(1ヶ月分)」を超える貯金がある場合
例: 最低生活費が13万円の地域で、貯金が30万円あるなど。
まずはその貯金を切り崩して生活するよう指導されます。
• 受給できるケース: 手持ちの現金・預貯金が数万円程度、あるいは数千円など、最低生活費を大きく下回っている場合。
2. その他の資産はどう扱われるか?
お金だけでなく、以下のような「換金して生活費に充てられる資産」を持っている場合も、原則として受給の対象外(売却・処分が必要)となります。
資産の種類 原則としての扱い 例外的に保有が認められる条件
家・土地(持ち家) 売却・処分が原則 資産価値が低い、ローンの支払いが終わっている、住み続ける方が家賃を払うより安く済む場合など。
自動車・バイク 処分・売却が原則 公共交通機関がない地域での通勤・通院に不可欠な場合や、障害をお持ちの方の移動手段など。 生命保険・学資保険 解約して返戻金を生活費に充てる 解約しても戻ってくるお金(解約返戻金)が少額(目安として数十万円以下)である場合など。
貴金属・株・投資信託 すべて売却が必須 趣味の装飾品で処分価値が極めて低いものを除き、投資商品や価値のある貴金属は保有できません。
注意点:資産の隠蔽は絶対にNG 申請時には、銀行口座の残高や過去の取引履歴、所有している資産について詳しく調査(資産調査)が行われます。
もし口座を隠したり、タンス預金を申告しなかったりして後から発覚した場合、「不正受給」とみなされ、支給された保護費の全額返還請求や、悪質な場合はペナルティ(刑事罰など)を科されるリスクがあります。
手持ちの財産や預貯金がいくらあるかは、最初からすべて正直に窓口へ伝えることが大切です。
生活保護を受けるメリット
経済的な困窮から抜け出し、憲法で保障された「健康で文化的な最低限度の生活」を確実に維持できることです。
金銭的な支給だけでなく、医療費や税金などの負担が免除されるため、生活の立て直しに専念できます。
1. 毎月確実に生活費・家賃が支給される
•生活扶助: 食費や光熱費、衣服代など、日常の生活に必要な費用が毎月現金で支給されます。
• 住宅扶助: 決められた上限額(基準額)の範囲内で、実際の家賃分の費用が支給されます。
2. 医療費や介護費が「実質0円」になる
• 医療扶助: 病院での診察、検査、投薬(薬代)、手術などの費用が全額免除されます。
窓口で自己負担分を支払う必要はありません。
• 介護扶助: 介護保険のサービスが必要になった場合、その費用も全額免除されます。
3. 各種税金や公共料金などの負担が免除される
• 税金の免除: 住民税や所得税などの税金が免除されます。
• 保険料の免除: 国民健康保険料や国民年金保険料(法定免除)の支払いが免除されます。
• 公共料金等の割引: 自治体によっては、水道料金の基本料金減免、NHK受信料の全額免除、公営交通(バス・電車)の無料乗車証交付などがあります。
4. 人生の節目に応じた一時金(扶助)が出る
• 出産・教育: 出産費用が出る「出産扶助」や、小中学校の給食費
・学用品代が出る「教育扶助」、高校の就学費用が出る「生業扶助」があります。
• 葬祭費用: 万が一の際、葬儀費用をまかなう「葬祭扶助」も用意されています。
5. ケースワーカーによる就労や自立のサポートを受けられる
• 福祉事務所のケースワーカーが定期的に家庭訪問を行い、生活の悩みを聞いてくれます。
• 病気が回復した後は、無理のない範囲でハローワークと連携した仕事探しのサポート(就労支援)を受け、自立に向けた準備を一緒に進められます。
生活保護の制限やデメリット(義務)
国の税金から保護費が支払われているため、公平性を保つために設けられているルールです。
大きく分けて「お金に関すること」「生活に関すること」「プライバシーに関すること」の3つがあります。
1. お金・資産に関する制限 • 貯金や投資が制限される
最低生活費を超えるようなまとまった貯蓄は原則として認められません。
また、株や投資信託、暗号資産などの資産運用もできません。
• 借金(ローン・クレジットカード)ができない 生活保護費を借金の返済に充てることは禁止されています。
そのため、新たな借入れやローンの契約はできません。クレジットカードの新規作成や利用も、原則として認められないケースがほとんどです。
• 高価な買い物が制限される ブランド品や貴金属、高級家電などの購入は指導の対象になることがあります。
また、原則として自動車やバイクの保有・運転は禁止されています。
2. 日常生活や行動に関する制限 • パチンコやギャンブルの制限
法律で完全に禁止されているわけではありませんが、「保護費のやりくりの範囲内」で行う必要があります。
ギャンブルにお金を使い込んで生活が破綻したり、借金をしたりした場合は、厳しく指導され、最悪の場合は保護が停止・廃止されます。
• 海外旅行や贅沢な旅行の制限 海外旅行は資産や収入がある、または贅沢をしているとみなされるため、原則として認められません。国内旅行であっても、事前にケースワーカーへの相談や報告が必要になる場合があります。
3. プライバシーや手続きに関する負担
• ケースワーカーによる定期的な家庭訪問 生活状況を確認するため、担当のケースワーカーが定期的に自宅を訪問(家庭訪問)します。
これを利用者は拒否することはできません。
• あらゆる「収入」を報告する義務 働いて得た給料だけでなく、親族からの仕送り、年金、臨時収入(フリマアプリでの売却益や、お年玉など)まで、1円でも収入があった場合はすべて福祉事務所に申告する義務があります。
申告を怠ると「不正受給」とみなされる可能性があります。
• 親族への扶養照会(通知)がいく場合がある
申請の際、福祉事務所からあなたの親や兄弟、子どもに対して「この人を経済的に援助できませんか?」という確認の連絡(扶養照会)が行くのが原則です(※DVの恐れがある場合や、長年音信不通である場合などは配慮・省略されるケースもあります)。
おわりに
生活保護の制限は厳しいように見えますが、どれも「生活を立て直し、自立を目指す」ためのルールです。
病気やケガの治療、仕事探しに専念している間は、これらの制限を守りながら生活の安定を図ることになります。
年金で生活できないときは生活保護を受けたほうがいいと思います。
納税できないときは役所の税務課に相談すれば、分割にしてもらえたり、最悪お金貸してもらえたりする。
貧困ビジネスの餌食にならないように注意しよう!